熊本日日新聞 

2000年(平成12年)328日火曜日朝刊 より


けいれん性発声障害
理解求め患者の会発足

声上手く出せない・・・『病気』の認識薄く、治療薬入手も困難


 声を出したいがうまく出てこない「けいれん性発声障害(SD)」。患者にとっては深刻な悩みだが、「病気」という認織が簿く、医療関係者の間でもあまり知られていない。有効な冶療法はあるが、冶療できる施設が限られているのが現状。患者らは「病気の理解を広げ、患者同士で支え合おう」と、会をつくって活動を始めている。けいれん性発声障害は、声帯が過度に繋張するため、声がうまく出せず、絞り出すような声やかすれた声になってしま病気だ。治療に敢り組んでいる小林武夫・帝京大医学部耳鼻咽喉(いんこう)科教授は「脳の基底核に異常があるという説もあるが、詳しい原因はまだ分かっていない」と話す。

▼笑い声は正常

 福岡市城南区の言語聴覚士、中西由佳さん(
32)は高校生のころ、話したいのに言葉がうまく出てこなくなった。ただ、笑い声には異常がなく、「あがっているためだろうと思い、病気とは考えなかった」という。たまたま知り合った言語聴覚士に指摘され、病院で診断を受けて障害が分かった。小林教授によると、笑い声や高い声を出すときはほとんど正常という。根冶療法はまだないが、有効な方法は「ボツリヌストキシン療法」。食中毒を起こすことで知られるボツリヌス菌の毒素を取り出し、少量を声帯に注射する。「声帯の緊張を抑え、発声ができるようになる。ただ、効果は三ヶ月程度。定期的に注射する必要がある」と小林教授。
 福岡市内の病院で働く中西さんらは昨年九月、病気への理解を広けようと「けいれん性発声障害の会」(SDの会)を発足させた。患者が集まり悩みを話し合ったり、ホームページを開設して情報を発信するなどしている。中西さんは「コミュニケーションにかかわるため本人の悩みは深刻。特に声が頼りの電話では、誤解されることもある。病気を知ってもらうとともに、患者同士で支え合い、情報交換をしたい」と話す。

▼保険認められず

 「病気」という認識が簿い背景には、病院で受診してもなかなか診断がつかないこともある。同会の患者の中には、病院で「精神的なもの」と言われ、精神安定剤を処方されたがよくならず、十以上の病院を転々とした人もいるという。小林教授も「患者数が少ないこともあり、医師の間でも認知度は低い」と言う。治療に有効なボツリヌストキシン療法にしても、脳性小児まひや斜視などには広く使われているが、けいれん性発声陣害への治療には広がっていない。

@保険で認められておらず、ボツリヌストキシンの入手が困難
A筋電図を敢りながら薄い声帯に注射するため、高度な技術が必要 −などのためだ。

 小林教授は「保険で認められれぱ、各地で治療できるようになるだろう。診断がついていない患者も多いとみられるので、まずは医療関係者に病気のことを知ってほしい」と話している。

【森本 修代】


 ※帝京大医学部付属市原病院への電話でのお問い合せはご遠慮下さい。