やまびこ通信
vol.5 2001春号


 SDの記事が掲載

 中日新聞
112日朝刊と、毎日新聞223日朝刊に、 SDの記事が掲載されました。
 中日新聞掲載を進めてくださった会員からのメッセージです。  


 
≪ 健康ページ ≫
 正しい診断、治療の普及目指す
けいれん性発声障害(
SD)患者の会、設立し活動


特異な発声、声の途切れ…  障害への理解求める

 けいれん性発声障害(Spasmpdic Dysphonia)という病気がある。声が詰まってしまうなどの症状が出るが、体のほかの部分には異常が見られない。そのため、心因性と間違われたり、吃(きつ)音と診断されたりする場合が多い。周囲を気にして、外出できなくなる人も。治療中の患者が昨年、患者の会を発足。障害への理解と治療の普及を目指して活動を始めている。(野村由美子)
SDの患者でつくる「SDの会」代表の音楽教諭、小川悟さん(43)=仮名、静岡県掛川市は、十年ほど前、突然声の調子がおかしくなった。無意識に声が詰まるが、のどには痛みもない。自分ではしゃべりたいのに声を出せない。会議などで緊張するとさらにひどくなった。耳鼻科を何軒か回ったが、原困が分からないまま、ポイストレーニングを受けたり、「ストレス」といわれ、精神科を受診したりしていた。4年ほどたったころ、大学病院で、ポツリヌス毒素を微量、声帯に注射するボツリヌス療法を知った。以後、約3力月に1度、治療を受けに千葉県へ通う。
 治療に通う中で同じ障害を抱えるさまざまな立場、職業、年齢の人に出会い、「精神的な支援が必要」と痛感し、福岡県在住の患者で言語聴覚士の中西由佳さん(
32)とともにSDの会を立ち上げた。「自分だけが訳が分からない病気で苦しんでいる』と悩んでいる人は多いはず。一人でも多くの人にこの病気の存在を知ってもらいたい」と小川さんは話す。SDは、咽頭(いんとう)筋のけいれん様異常運動によって、締め付けられるような発声や声の途切れなどが出る病気。はっきりとした原因や治療法分からないまま。最近は、まぶたのけいれんや痙性斜頚(けい)などのジストニアに分類される神経系の病気であることが分かってきた。10万人あたり6.1人という調査もあるが、正確にはまだ分かっていない。しかし、緊張状態にあると余計に症状が悪化することなどから、精神的な原因と精神科受診を進められたり、吃音と診断されたりすることが多い。中西さんの調査ではSDと診断されるまでに患者が回った医療施設数は2から10施設。周囲からも「変な声」と笑われたり、「もっとカを入れたら」と努力を求められたりして、人前で話せなくなる患者は多い。現在微量のボツリヌス菌の毒素を注射するボツリヌス療法が対症療として効果が上がると海外でも知られていて、日本でも一部の顔面けいれんには保険適用されているが、SDにはまだ承認もされていない。唯一、千葉県の帝京大学市原病院耳鼻科(小林武夫教授)で、患者との自由契約による診療として実施しているだけだ。小林教授は「病名自体、知らない耳鼻科医は多い。耳鼻科で診断がつかないと、患者はたらい回しになったままだ。正しい診断が広まれぱ、治療方法ももっと広がるのでは」と話す。

 SDの会では、患者特有の声も公開したホームページ(アドレスは、http//www.d3.dion/~yukan/))を立ち上げ、全国にまたがる会員同士の交流や病気への理解を求めるほか、ことしはパンフレットー万部を作製し、全国の病院に配布する。国にポツリヌス療法承認も求めていく。

 ※ お願い … 【SD】に関するお問い合せは【MUNE】の【事務局お問い合わせ】でお願いします。
           帝京大学市原病院への電話でのお問い合せはご遠慮ください。

 ※ 上記記載のホームページアドレス【
http//www.d3.dion/~yukan/】は
   
 2005年に現在のアドレスに変更となりました。

 紅茶は飲まない方がいいの?
「紅茶で食中毒防げる?ボツリヌス菌無害化物質を抽出」という 見出しで、朝日新聞(1999.12.2)に記事が掲載されました。
 帯広畜産大学の西村昌数教授(薬理学)が、紅茶から抽出される物質テアルビジンに、 食中毒を起こすボツリヌス菌の毒素を無害化する機能があることを発見し、11月29日付で特許が認められた、と1日に記者会見して明らかにした。 西村教授によると、ボツリヌス菌に汚染されたマウスへの投与実験で、一定量を与えると画期的な効果があることが実証された。 また、破傷風菌の毒素の無害化にも優れた効果があることもわかったという。 では、ボツリヌス菌の毒素を治療薬として使用している者は、それを無害化する機能があるテアルビジンを含む紅茶は、 飲まない方が良いという事になるのでしょうか?こんな風にお考えになった方も、きっと少なくないでしょう。 そこで、帯広畜産大学の西村昌数教授に、上記の質問をしてみたところ、次のようなお答えをいただきました。 『一切関係ありません。 治療目的で投与するボツリヌストキシンは声帯筋の組織内に注入されます。 他方、紅茶は口腔および食道を経て胃内におさまります。 それぞれが「登場する」部位が異なりますので、お互いに接触する機会がありません。 したがって、テアルビジンがボツリヌストキシンを無害化することはありません。 なお、吸収されたテアルビジンの作用を危惧されているようでしたら、それも考慮する必要はありません。 何故ならば、テアルビジンはほとんど吸収されません。』 …ということです。 取り越し苦労で幸いでしたね !

 ボツリヌストキシン治療情報 (2)

 雑誌『日経メディカル』
200011月号(朝日新聞社発行)に、
ボツリヌス治験からの教訓」という記事が掲載されましたので ご紹介いたします。

日経メディカルの記事(ボツリヌス治験からの教訓)を読んで、驚きました。というのも、その記事は、「顔面痙攣に続き、神経難病の一つである痙性斜頚にも、ボツリヌストキシンの適用拡大が、厚生省に申請され、承認は来年になる見通しだ」という書き出しだったからです。 早速、日経メディカル誌にSDの会から連絡をしました。

痙性斜頚について認可がおりるという話は、本文に出てくる医師にお伺いしたもので、認可の過程については詳しくわからないとのこと。 この記事は認可についてというより、それにかかわる公務員の役割について述べられたものなので、そのあたりのことは詳しく聞かれなかったのかもしれません。 けれども、日経メディカル誌が
SDについて興味を持ってくださいました。 そして、記事の掲載を検討してくださるということです。
 
今後も会報の送付など継続的な情報提供を行っていく予定です。

 ご家族からのお手紙

 SD
は本人だけでなく、家族の方にもたいへんな負担をかける場合が あります。
 今回は初めてボツリヌストキシン治療を受けられた方のご家族から手記をいただきました。

≪娘がけいれん性発声障害になって≫
     
「会話の始め言葉が出しにくくて困ってるの。」と言う娘。風邪をひいて声がかすれているものとばかり思っていた私は、近頃、娘が詰まりながら話をしていた事に気付きました。娘は声が出にくくて、とても苦しいと言うので、とりあえず行きつけの耳鼻科で診て頂きました。検査の結果は、ポリープもなく「異常なし」との事。異常があるから治してほしいという娘。 
大きな病院ならきっと治してもらえると期待して行った大学病院でも、「別に異常はないので
3ヶ月後に又来てみなさい。」と言われ、何の薬も貰えずがっかりして帰ってきました。今まで自然に出ていた声がすぐ出てこない事で苦しみ悩んでいる娘に、私も親としてどうにかしてやりたいとの思いで、発声の方法をアドバイスしたり、心の問題では……等と言ってみたりしていました。その頃、娘は毎日インターネットで声の病気の事を調べていました。

何日かして゛けいれん性発声障害゛という病名を見つけ、自分の症状にとても似ているというので資料を集めているうち、
SDの会の存在を知りました。会から、病気についての資料や、やまびこ通信を送って頂いた時は、親子共々感激致しました。けいれん性発声障害という病名が分るまでの暗く長いトンネルをぬけ、ようやく明かりが見えた思いでした。それと同時に家族の病気に対する理解も必要である事が分りました。

親としては、いつも元気な娘が声が出にくいという事だけで病人として扱われなければいけないということにどうしても納得がいきませんでした。でも、娘は現実に声が出なくて苦しんでいます。そしてどうにかして元通り声が出るようになりたいと望んでいるのです。私も親として娘の望みを叶えてやる事が一番ではないかと考えました。でも、ボツリヌストキシン注射を喉に打つことが現在は最良の治療法であることを理解するのには少し時間がかかりました。折もおり、新聞でボツリヌス菌による殺人事件の報道があった直後だったので、その様な猛毒を注射して本当に大丈夫なのか、とても心配でした。

でも娘が注射を受けてみたいと希望しているし、現に声の事で苦しんでおられる方々がその治療法で救われているのだったら、一度思い切ってその治療を受けてみるのも一つの方法ではないかと考え、主人と私と娘の
3人で病院へ出かけました。ボツリヌストキシンの注射による治療法は考えていた程大変なものではなく、短時間で終わり、SDの会にも入会させて頂き心強い思いで帰って参りました。娘は大学4年生で就職活動中、声が出にくいという事で思うように出来ないでいましたが、治療の後、おかげ様で就職先も決まり、現在は卒業を待つばかりです。社会人となる4月を希望を持って迎えられる様になったのも、先生はじめ、SDの会の方々のおかげだと感謝しております。本当にありがとうございました。

 第6回ミ−ティング予告

今回のミーティングは初心に戻って、 フリートークを中心におこなう予定です。  
みなさまの参加をお待ちしております。